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【清掃】ピアノ内部を清掃し、鍵盤の間接部を磨くことで部品の劣化・磨耗を防ぎます。
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使用状況や部屋の残響等を把握し、鍵盤の動き、音律や響き、べダルの状態などを点検し、必要な調整内容を確認します。
棚板(鍵盤の下)に溜まった塵やホコリを、掃除機やハケで清掃し、ピアノ内部・アクションを清潔な状態に戻します。
アクションを分解し、鍵盤の間接部となるピンなど1本ずつ磨くことで、サビやヤニを拭取り、鍵盤がスムーズに動けるよう整えます。
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【整調】メカニック調整でタッチコントロールを整え改善し打弦がスムーズに行えるようにします。 |
整調の目的は、ピアニストが与えた力を鍵盤からハンマーまで確実に伝え、尚且つ、次の打鍵がスムーズに行えるようなメカニックをつくりあげることです。
メカニックは鍵盤部、ウイペン部、ハンマー部に分かれますが、鍵盤もウイペンも精密に調整が揃い、ハンマーは正確に弦に当たるよう調整される必要があります。
又、各調整は密接な関わりをもつためアフタータッチのバランスが整うように緻密な調整が必要です。
整調は奏者のタッチコントロールを変化させ直接ピアノの発音にも影響します。そのため整調が不良ならば発音も不揃いになりタッチも音色も不揃いになってしまいます。
奏者にとって鍵盤がコントロールしにくい(軽すぎる・重すぎる)等は主に「整調」で解決することができます。
またお子供さまが成長し体格が変化した場合や、演奏スタイルが変化した場合にも、「整調」のバランスを変えることで奏者に合ったタッチを見出すことができます。
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【調律】基準ピッチ(A=440Hz〜442Hz)で定められた音律に合わせ、音の響きを整えます。 |
ピアノ調律には厳しい訓練をした音楽的な聴力と、美しい音の構築を修得した優れた能力が必要です。
また、重要なことですが耳による感応調律を行います。
高価で高精度の機械(クロマティックチューナー・サイバーチューナー等)を使用することによって音程を正確に合わせることは可能ですが、全体のハーモニーや1音1音の音色のバランスをそろえる為には「耳による感応調律」が不可欠です。
「調律」には高い集中力と精神力が必要とされることと、調律師自身の聴覚の健康状態を維持するためにも、1日に2台ほどのピアノしか調律することが出来ません。
調律は「音律」が正確になるだけではなく「音色」も大きく変化させるため音の発音や伸び、色艶も変わります。
また、調律は「弦の張り」を調整するためハンマーが弦に当たる衝撃が変わり、直接タッチにも影響します。
良い調律は、弦のふくよかな振動を手に感じさせてくれるようです。
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【整音】ハンマーに弾力と張りを与えて、より音楽を表現できる音に調整します。
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ピアノにメロディーバランスと、演奏家にとって大切な変化に富んだ楽音、豊富な音色を持たせるため「整音」の作業は大変重要です。
ピアノのハンマーは、硬い部分と柔らかい部分のバランスで力強く、伸びのある華やかなピアノの音を創りますが、そのバランスを生み出す為に、充分な経験と技術が必要とされます。
ハンマーの形状が理想的な形に整形(ファイリング)されている必要があります。そして3本弦に同時に当たるように弦の高さや、打弦点を調整します。
力(音量)の無いハンマーには硬化剤を使用することもあります。硬化剤には多種多様なものがありますが工場で使用されるものと同じ硬化剤(ニトロセルロース)を使用します。
最後に、ハンマー針刺しによる最終整音でノイズを取り去ります。 針を刺す場所や深さ、刺し方で音色が緻密に変化するため調律と同じく、極度の集中力と精神力が必要な作業です。
長年使用して潰れてしまったハンマーや、出荷調整の不十分なピアノは、丁寧にハンマー整形(ファイリング)をして針刺し(ボイッシング)することで本来の響きを取戻し良い状態に回復すことができます。
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【仕上げ】ペダルの状態を調整し、ピアノ全体のバランスを整えます。 |
「整調」、「調律」、「整音」などの調整は、バラバラに行われるのではなく、全体のバランスが重要です。
ダンパーペダルやソフトペダルの状態を整え、ピアノ全体を鳴らし、望ましい状態に調整されているかどうかをチェックします。
ピアノ調律、調整はメーカーごとにスタンダードが異なり、さらに色々な演奏家に合わせて調整内容も異なってきます。
しかし、ピアノを安定させたり、消耗や劣化から守るために必要な技術はほぼ共通しています。
良いブランドのピアノは長年の伝統のなかで洗練されたスタンダードの響きを生み出し受け継がれ、それと同時に調律技術も受け継がれてきました。
それらの伝統ある音色を損なわないように、また演奏家に喜んで頂けますように私達は日進月歩しております。
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