アップライトピアノ調律・調整
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【 ピアノ内部の点検と清掃 】 |
ピアノの外装部分を外し、アクション(機械部分)を取外します。 棚板(鍵盤の下)に溜まった塵やホコリを、掃除機やハケで清掃し、鍵盤の間接部となるピンを、全て1本ずつ磨き、鍵盤がスムーズに動けるよう調整します。
塵や異物は、鍵盤やアクションに詰まりトラブルの原因になる場合があります。
又、湿気を含んだホコリは、害虫の巣になりやすく、虫食いで大切な内部の部品を傷めてしまうケースも多くあります。
トラブルの予防策として、定期的な内部の点検・清掃は必要不可欠です。
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【 整調、修理 (鍵盤とアクションの調整) 】 |
88鍵のタッチを揃え、スムーズな動きができるように、打弦機構(鍵盤とアクション)の動きを、各基準寸法の数値に整え、正しい運動ができるように調整します。
鍵盤の高さや深さ、打弦距離(ストローク)、ダンパー始動のタイミング、接近(レット・オフ)、ペダルのタイミング等、全体の弾き心地を確認し調節します。
高い精度に安定した楽器は、各基準値の範囲内で微調整を加え、弾き手の好みに合ったタッチをつくります。
ネジの増締めから始まる、「整調」の作業は、ピアノのタッチ感だけでなく、音色や響きにまで大きく影響する重要な作業です。
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【 調律(チューニング) 】 |
ピアノを定められた音律に合わす為に、チューニングピンを、チューニングハンマーを使って、締めたり緩めたりしながら、正しい音律に合わせます。
88鍵全体の音階を聴き分けながら、音色を整え、全体の音量、響きを調節します。
ピアノは1つの鍵盤を叩くと、ハンマーは3本の弦を同時に叩きます。 その3本の弦の音を1つの音に綺麗に合わせる事をユニゾン調整と言います。
ピアノは木、金属、布類で造られており、温度・湿度などの外的な要因で様々な形状変化をし狂います。
調律の変化に特に大きな影響を与えるのは響板です。響板は湿度を吸えば膨張して膨らみ、弦が押し上げられ張力が強くなり音の高さが高くなります。 逆に乾燥すれば、収縮し弦を押し上げる圧力が弱まり、音の高さが低くなります。
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【整音 (音色・音量の調整)】 |
ff(フォルテッシモ)からpp(ピアニッシモ)までの各音量の音質や、各弦の音質を適切に88鍵全体のバランスを調整します。
ピアノ調整の中でも、もっとも繊細で難度の高い仕事です。
3本の弦と、弦を打つハンマーが適切に当たるようにするだけでなく、ピッカーやペーパーといった工具を用いてハンマーヘッドの形状を整えたり、硬さや弾力を調整します。
ハンマーは、硬い部分と柔らかい部分のバランスで力強く、伸びのある華やかなピアノの音で響きますが、そのバランスを生み出す為に、充分な経験と技術が必要とされる行程です。
長年使用して潰れてしまったハンマーや出荷調整の不十分なピアノは、丁寧にハンマー整形(ファイリング)をし、針刺し(ボイッシング)することで本来の響きを取戻し良い状態に回復すことができます。
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【全体のバランスを整え仕上げる】 |
ピアノの調整は、「整調」「調律」「整音」の作業が密接に関係しています。
各調整作業のバランスは、音色、音量、全体のタッチやぺダルのふみ心地などに直接影響します。 ピアノ全体のバランスの配慮は大変重要なポイントです。
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